《MUMEI》

日高、沖、関谷のランパス。


当然戻る海南。


しかし、


「こっち!!」


「こっちだ!!」


ディフェンスを交わしパスを繋ぐ。


「ナイッシュー!!」


日高のシュートが決まる。


6対4。


「速いな。」


「確かに速いね。


うちと同じレベルって言ってもいいくらいだ。


ただ、俺のスピードに合わせられる奴がいないからだけどな。」





「取り返すぞ!!」


「おぅ!!」


リスタートに向かう海南。


待ち受けている赤高。


(とことんマンツーかよ…)


「どうせスタミナ持つ訳ね〜んだ!!一気に行くぞ!!」


自らに言い聞かせるかのように千葉が叫ぶ。


「絶対抜かせんなよ!!」


そしてユキヒロも自分に言い聞かせながら叫ぶ。


今点を決めたばかりの日高も、戻って来ている。


(オフェンスもディフェンスも全力疾走してて持つ訳ね〜んだ!!


長くは続けて来ないだろ!!)


千葉の読みは正しいかもしれない。


しかし、オールコートマンツーで付かれたオフェンスは確実に崩れている。


そして何よりも、この変則的な状況下でのオフェンス等できる訳もない男がいたのだ。


一ノ瀬未來。


彼は…


ハンドボールを初めて


わずか3日。

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