《MUMEI》 ◆◇◆ 生まれも育ちもまるで違う。 それでも、二人は互いに、どこか親近感を持たずにはいられないのだ。 「姫君」 「月裔‥?」 何月振りだろう、彼が邸に姿を見せたのは。 「月裔も上がらないか、疲れただろう」 「あ、いえ‥」 お構い無く、と言いかけ、月裔は姫君の傍らの娘に気が付いた。 「この方は‥」 「そうか、月裔にはまだ言っていなかったな」 「お知り合い‥ですか?」 もう一人姫君がいるような心持ちに、月裔はいささかうろたえる。 すると奏美が苦笑した。 「彩貴さんのお仲間でいらっしゃいますよね」 「は‥はい、ご存じなのですか」 「姫様から聞かせて頂きました。貴方だったんですね、月裔という方は」 そこまで聞き、月裔は、はっとする。 そして、気付いた。 この娘は、目が見えていない。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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