《MUMEI》
第三十七話:召喚剣士
 数分の睨み合いが続いた後、
 先に仕掛けたのは白真のほうだった。

「火遁!」

 繰り出された魔法を防御用の大剣で海原は受ける。
 普通の使い手が使うものよりその威力は大きい。
 おそらく剣自体が大きな魔力を持っているのだろうと、海原はそう考えた。

「炎タイプか」

 冷静に相手の動きを見ることもできる。
 白真はそんなにスピードの速いタイプでもない。
 もちろん油断はできないが・・・・ 
 しかし、ここから予想は一気に覆される!

「それだけじゃない。氷柱!」

 無数の氷の矢が繰り出される。

「氷タイプも使えるのか!」
「まだまだ! 雷鳥!」
「くっ! 今度は雷だと!」

 戦いに繰り出してくる自然系のタイプが三つ。
 しかもすべて性質を変化させるという芸当までやってのけて・・・・

「お前何者だ?」

 たずねられた問いに白真は丁寧に説明した。

「たいていのバスターは一人一つの能力が普通。化物でも三つから五つだ。
 だが、俺の場合は違う」

 繰り出されたのは無数の蛇!

「無限ナイフ!」

 すばやい反応が自分の命を救った。
 白真が繰り出したのは毒蛇!

「お前は召喚士か?」
「いや、少しだけ違うな。
 俺はバスターの中でも極僅かしかいないタイプ、「召喚剣士」だよ」


 「召喚剣士」。それは自然魔法、魔物を召喚するバスターの中でも特質な存在だった。
 掃除屋界の中では「無敵の能力」と謳われるほどの特殊タイプなのである。
 ただし、それを召喚するにはかなりの力を必要とし、
 さらには数少ない「召喚剣」の使い手でなくてはならないのである。
 白真はまさに召喚剣に選ばれたバスターだった。

「お前の情報はすでにこっちに入ってる。
 おとなしくここで負けを認めれば捕らえるだけで勘弁してやる。
 うちは人殺しはしないんでね」

 召喚剣士と戦うこと自体がほぼ敗者となる理由。
 しかし、海原は冷静だった。

「・・・・そうか。ならば先に謝っておこう。全力でいくといいながら舐めていたことを」
「ああ、あんた優しそうな性格してたし」

 白真はにやりと笑う。

「そうか。だが、残念だ」
「うっ!」

 突然白真の体に切傷が刻まれる!

「お前がいくら召喚剣士だろうと、
 経験の差は埋めることはできない」

 新たに白真の頬に切傷が走った・・・・

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