《MUMEI》
気まずい授業
結局俺は、一人だけ授業に遅刻した。


(失敗した…)


その後、担任に指名され、朗読はうまくできたが…


「何でわからないんだ」


「すみません」


(わかるかよ)


俺が、国語が苦手な理由


それは、


教科書に出てくる登場人物達の心情が全く理解出来ない事だった。


「読めばわかるだろう?この時の主人公の気持ちが」

(本人でも無いのに、気持ちなんてわかるわけないだろ)


無言の俺に担任はため息をついて、着席するよう言って、津田さんに模範回答を求めた。


津田さんは、俺とは反対に、文系…特に国語が得意で、担任のお気に入りになっていた。


ただし、津田さんにとっては苦手な数学も、この学校のレベルでは苦手な部類には入らなかった。


指名された問題に全滅した俺を、津田さんが模範回答でフォローする


そんな気まずい授業がようやく終わる頃


「じゃあ、田中。放課後津田さんと一緒にプリント整理をするように。

今日は副委員休みだから」

担任がとんでもない事を言った。


「お、俺ですか?」


「遅刻した罰だ。以上」


担任の言葉と同時に授業終了のチャイムが鳴り、日直の号令がかかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫