《MUMEI》
中学の二の舞
「じゃあ、私も」


「駄目ですよ津田さん!」

そう叫んだのは俺ではなく、遠巻きに俺の様子を監視していた津田さんの取り巻きのうちの一人だった。


「そうですよ、津田さんはもっと高得点の種目に出て、活躍しないと」


俺も取り巻きの意見に合わせた。


「仕方ないな〜、祐也がそう言うなら…」


(空気読めよ!)


津田さんの言葉に俺はギョッとして、危うくホッチキスの針を指に刺すところだった。


「俺、終わったんで」


「私のは手伝ってくれないの?」


津田さんの手元にはまだページ数が書かれていないプリントが残っていた。


(このまま帰ってもまずいよな…)


俺は、黙々と津田さんを手伝おうとした。


「ねぇ、前髪切らないの?」


しかし、津田さんの質問は普通は無視できなかった。

「顔、嫌いなんで」


「改造、そんなに嫌?」


「…すみません。出来たんで、お先に失礼します」


(もう、いいよな?)


津田さんが今書いているプリントが、最後だったから、俺は先に教室を出た。


「おい、田中」

「津田さんまだやってただろ」


下駄箱で俺は、津田さんの取り巻きの男二人に呼び止められた。

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