《MUMEI》

◆◇◆

「狐叉は‥人が好きなんですか?」

 奏美が、ふと思い付いたらしく尋ねた。

 七尾である狐叉が、何故こんなにも人と親しく出来るのだろう。

 奏美にとっては、それが不思議でならなかった。

 夜桜や彩貴、月裔とは親しい間柄であるにせよ、、昼間の人中に入って行くなど恐ろしくはないのだろうか。

 狐叉は勘づいたか、苦笑した。

「奏美」

「あ、はい」

「お前は、私が近付き話しかけた時‥恐ろしいと感じたか」

「いえ、人とは少し違う気配でしたが‥優しそうな方だと」

「もし私がお前を恐れさせようとするのならば、お前は私を恐れるだろう。だが、そうでは無く‥心を通わせようと思い近付くのならば、何も恐れはしないだろう?」

◆◇◆

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