《MUMEI》

「片付けてねぇっつったろ…お前らは二人部屋だからココより広いのか」
「うん、ベッド2つと机もあるよ…あれっ?武、机は?」

かなたにそう言われると俺は、オーディオとノートPCが占領している隅っこの机を指さした。


鞄をその辺に放り投げると、汚れたシャツを脱いでいく。

「そ…そんな…まだ早いよ///」
「んぁ?何言ってんだシャワーだよ、お前に転がされたからな」
「そ…そうなんだ///」

さすがに今かなたの前で全部脱ぐのは抵抗があったんで、風呂んトコのドアを閉めようとしたらベッドに居たハズのかなたがいつの間にか側まで駆け寄って来た。

「えっ!この部屋ってシャワーもあるの!?」
「あ…あぁ…お前らんトコは共同だっけ」

かなたは扉を開けた奥にあったシャワールームを見て目をキラキラさせていた。

「ココ狭いからシャワーしかねぇぞ」
「でもっ!自分の部屋にあるとか///」

かなた達の所の共同浴場は広いんだが、先輩とかと鉢合わせると可愛いめなかなたなんかはたまにイタズラされたりするんだと、ちょっと恥ずかしがりながら俺に話してくれた。

「…じゃあ…俺んトコに入りに来ればいいじゃん」

ゲーセンでの一件もあった事だし、小さい奴ってそういう事もあるよな…。

それに俺んトコも誰かが訪ねて来る事も無いし、コイツが来れば……賑やかになっちまうかな。

結局かなたの前で脱いだ服をその辺に置くと、かなたも一緒に着ていたモンを脱ぎはじめた。

「何だよ///」
「俺も、埃だらけだから入るっ!」

そう言って、かなたは自分の着ていた服を俺の脱いでった服に重ねるように置いていっていた。


一人分のシャワールームに二人で入ると、やっぱりちょっと身体が密着してしまうぐらい狭い。

そんな状態で俺の目の前にいるかなたの後ろ姿を見ていると、コイツは背も低いし、華奢で肩が細いし、しかも声も高いし、男には見えない程尻も丸くて柔らかそうで…。

ヤバい、だんだんコイツが女の子に見えてきた…。

ダメだダメだと自分に言い聞かせながら目をギュッと閉じていると、益々女が目の前に居るような妄想が広がって来てしまう…。

「武ィ、石鹸小さくない?あ、俺持ってきたんだった」

声だけを聞いてると女だ。

悶々とそんな事で頭がいっぱいになってきて、なんかしちまいそうで…ヤバい…。

もうそろそろヤバい方向に行きそうになっていると、ふんわりと良い香りが漂ってきた。

「ん…何だ?」

見ると、かなたが手に持っていた何やらカラフルな石鹸から香っていた。

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