《MUMEI》 進化するいじめ(それでも、許せないんだろうな…) 俺は、下駄箱で靴を履き替えながら、ため息をついた。 下駄箱は綺麗だし、靴も普通にあった。 朝、上履きを履く時も、普通だった。 クラスで、俺の悪口を言っている奴はだれもいない。 偶然を装って俺を突き落とした同級生も、すぐに駆けつけ、心配するフリをしていた。 …しかし。 (またか) 自転車に跨った俺は、タイヤの異変に気付いた。 タイヤに穴は空いていない。 ただ、タイヤの空気を入れる時に開け閉めする小さなキャップが無くなっていた。 それにより、時間をかけて徐々に空気が抜けていたのだった。 (やっぱり、…あるし) 自転車の近くにしゃがみこんで、目を皿のようにして探すと、ご丁寧にキャップが置いてあった。 向かいにある大型スーパーの入口には、無料で自転車の空気を入れられるスペースがあった。 (今日も遅刻だな) この嫌がらせの本当の目的は、俺のバイト先での印象を悪くして、バイトを首にさせるためだった。 普通は、高校生の一人暮らしは、バイトが無いと生活が厳しい。 俺は、地味な印象から、貧乏だと思われていたのだった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |