《MUMEI》

◆◇◆

「十五年前にお前と会ったのも‥丁度こんな夜だったな」

「‥?」

 夜桜はきょとんとした。

 その時夜桜はまだ外の様子を知らなかったのだ。

「桜が‥舞っていたのか」

「ああ」

 狐叉は懐かしげに目を細めた。

 夜桜は、そうか、と頷く。

 確かに、桜の香りがしていたような気がする。

 そして、ふと考えた。

 兼ねてから彼女が狐叉に尋ねようと思っていた事があったのだ。

「狐叉」

「‥‥‥‥?」

「狐叉は‥どうして私の所へ‥?」


◆◇◆

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