《MUMEI》
抜き打ちチェック
(ん?)


鍵を開けたはずなのに、アパートの部屋の扉が開かない。


(まさか…)


俺はもう一度、鍵を差し込み、回した。


ガチャッ


鍵が開いた事を確認した俺は、部屋に入った。


「おかえり」


「ただいま。いつ、来たんだ?」


「さっきだ」


「ふ〜ん」


俺は、冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出した。


忍が突然やってくる事は時々あったから、既にこれは俺の中で普通になっていた。


「…脱げ」


「はいはい」


俺は、外国人とケンカした時に乱れた衣類と下着を脱ぎ捨てた。


忍は旦那様の近くに常にいたから、俺の裸を見慣れていた。


「傷は無いな」


「あんたが彫らせた嫌味な刺青以外はな」


忍は俺には触れず、ジッと俺の裸を見つめていた。


「まだ、無いんだな」


「…体質だろ、これは」


忍に言われて両腕を上げたが、俺には脇毛が無かった。


脇だけではない。


俺にはヒゲも生えていなかった。


それに、腕や、足や…


…アソコにも。


俺には、普通だったら生えてくるはずの体毛が一本も無かったのだ。


「ここはどうしてる?」

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