《MUMEI》
隠せない寂しさ
「また調べるからな」


「また反応すんなよ」


俺の皮肉に珍しく忍は赤くなった。


そして、その日のうちに屋敷に戻っていった。


翌朝。


「おはよう」


「おはようございます」


俺と屋代さんの生活リズムは近いらしく、俺は屋代さんと二人でゴミ捨てに行くのが習慣になっていた。


「そういえば、昨日、親戚のおじさんに会ったよ。
保護者って聞いてたけど、若くてびっくりした」


「屋代さんよりは下ですからね」


忍はまだ三十代だった。


屋代さんと忍は、昨日が初対面だった。


「まだ寝てる?」


「いえ、忙しい人だから、もう帰りました」


「…寂しくないかい?」


(寂しい…?)


寂しいと言うなら、旦那様が亡くなったあの日から、俺はずっと寂しかった。


「いつでも、遊びにおいで。それから、友達呼んで騒いだっていいんだよ。

いつも静か過ぎて、逆に心配になる」


屋代さんが俺の頭を撫でた。


どうやら俺は、無意識に寂しそうな顔をしていたらしかった。


「大丈夫です。ありがとうございます!」


俺は、普通より明るく振る舞った。

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