《MUMEI》
二日酔い
  
「たーけしーっ♪」

寮の俺らの部屋に来るとすぐにヘッドに寝転がって動かなくなった武のお腹にいつものように飛び乗ると、その顔をのぞき込んだ。

「あそぼ?」

= = = = = = = = = = = = = = = =

いつも通り双子の部屋に来て、そのままベッドに倒れ込んでいると、かなたが「遊ぼう!」と言って上に乗っかって来た。

「うっ…気持ち悪リぃ…」

昨日飲んだモノが一気に出てきそうな…。

「どうしたの…気持ち悪いのι?」
「バカが…どうせ飲み過ぎだなんだよ!」

と、かなたの兄であるはるかがそう厳しい口調で俺を非難してきた。

「大体、高校生なのに飲酒とか…何でかなたがこんな奴と付き合ってるのかワケ分かんねぇ…」

そう言ってはるかの奴は頭を抱え、呆れたという顔で明らかに俺を見下していた。

「お水持ってくるね♪」

それとは全く正反対の優しいかなたは、俺の事を心配してくれて水を持ってきてくれた。

「大丈夫?乗っかっちゃったりしてゴメンね」
「いいよ…お前ぐらい軽いモンだっての…」

かなたはまるで子猫のように可愛い顔で俺の事を心配そうに眺めていた。

「お酒は程々にしてね…」
「…分かったよ」

そう言ってかなたに甘えるようにキスをすると、最初は唇を重ねてくれていたのに急に俺を突き放してきた。

「……どうした?」
「お酒くさい…」

それを聞いたはるかがまるで「ざまぁ見ろ」とでも言いたげに笑っていた。

= = = = = = = = = = = = = = = =

「…たけしお酒くさい…」

武から離れてはるちゃんにムギュッとしがみつくと、はるちゃんは得意げな顔をしながら俺を抱っこしてくれた。

「酒くさいのより俺の方がいいよな」
「ん〜…」

ベッドで俺たちの方を見ていた武が、ゴロンと寝返りを打って向こうをむいてしまった。

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