《MUMEI》 真「お前が思っているほど綺麗なものじゃない。」 国雄は決して色褪せない姿で、瞳でもって見つめる。 そんな澄み切った瞳に構わず、言葉が出て来る。 「俺はお前が初めて話したところを見た、 初めて歩くところを見た、 初めて書いた文字も言葉も見た。 そうして初めての肉体的快楽の対象として国雄を選んでいた。もうずっと、此処がイカレていたのさ。」 こめかみを軽く突いた。 「だから、意識させるように情事を見せたのか。」 意識させたかったのではない、俺を刻み込ませたかった。 「それでも、俺は勝てなかった。」 俺がどんなにもがいても敵わない。 国雄は母親に飢えていた。 「レイは確かに大きな存在だった……昭一郎も愛していたんだろ?」 あまりに、素直な解釈だ。 笑いが漏れてしまった。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |