《MUMEI》

◆◇◆

 いつの日か、自分を救ってくれた幼女。

 だが彼女は、いつになっても子狐の前には現れなかった。

 何かの事情で、現れる事が出来なかったのかも知れない。

 幾年かが経ち、辺りの景色は変わり、人々の顔触れも見知らぬ者ばかりになっていった。

 それでも狐は、待つ事を止めなかった。

 幾年も歳を重ね、いつからか狐は二つの尾を持つようになった。

 それは三つ、四つ、五つ‥と次第に増えていき、狐叉は誰からともなく妖と呼ばれるようになっていたのだという。

◆◇◆

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