《MUMEI》
ボーボーとツルツル
陸上クラスマッチ当日。


俺は陸上競技場の更衣室にいた。


(視線が痛いな)


いじめは止まったが、取り巻き達の俺を見る目はまだ冷たかった。


(まぁ、俺みたいなのがキングやクイーンと知り合いなのがおかしいのはわかるし…)


俺としては、被害が無ければそれで良かった。


「祐也、早くしろよ!」


「あぁ、う…?」


守に言われて俺は上着を脱ぎ、Tシャツになったのだが…


「どうした?」


「ジャージが無い」


俺はバックから一応持ってきていた短パンを取り出した。


「あぁ、それ、津田さんの取り巻きの仕業だよ」


(またいじめか!?)


驚く俺に、守はいじめより衝撃的な事実を突きつけた。


「津田さんが、お前の足が見たいって言ってたらしいから」


「…マジ?」


「マジ。男のスネ毛ボーボーの足なんて見て、何が楽しいかわかんないけどさ」

(ボーボーどころか)


俺の足は、ツルツルだった。


「ま、気合い入った連中とか、男でも短パン普通にいるから!」


守の普通という言葉に、俺は渋々短パンを履いたが…

周りはやっぱりボーボー男子ばかりで


俺だけが女子並にツルツルだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫