《MUMEI》
途中経過
「おかえり」

「お疲れ〜」


スタンドに戻ってきた俺に、守と真司が声をかけてきた。


拓磨は、津田さんの取り巻きの一部になっていた。


「ただいま」


「まぁまぁだったな」


守がそう言った通り、走り幅跳びは11クラス中、5位の得点を獲得していた。


「まあな。総合は?」


「3位」


真司が素早く計算して、答えた。


俺達のクラスには、陸上部が一人もいなかったが、男子はサッカー部とテニス部・女子はバスケ部と…


既に三冠を達成した津田さんの大活躍により、優勝圏内に入っていた。


「こりゃ、最終までわからないな」


最終種目は、クラス全員参加の40人リレーだった。


(…最悪だな)


リレーは、名簿順に、男女交互にバトンを繋いでいく。


バスケ部の瀬川(せがわ)さんからバトンを受け取った俺は、次の…


津田さんに、バトンを渡さなければならなかった。


「責任重大だな、祐也。しかも、お前の組、激戦区だぞ」


「げっ、マジ?」


真司は頷いて、俺の組に、陸上部とバスケ部の男子がいることを教えてくれた。

(つまり、その二人より遅ければ、普通だな)


俺はそう思っていた。

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