《MUMEI》
 (BL度高し)
 俺は以前のように激情に身を任せるよりもあいつの反応を見ながら行うようになった。長い時間を掛けてあいつを上り詰めさせる。それが最後の征服欲の発露にさらなる起爆力を与えるのだ。
(俺はこの道を極めちまったのか・・)


 終えたあと、俺はあいつの出したものを残らず吸い尽くす。そして体のあちこちを優しく舐めていく。
 あいつの俺を受け入れた『ところ』が元に戻るまで俺はあいつを愛撫するのだ。
 特にあいつの二つの乳首を入念に舐め吸ってやる。女の様に大きく発達させてやれば、あいつの乳が出てくるかも知れない。あいつの知らないうちにだ。そうなればもう他の誰にも体を見せることは出来まい。俺だけのものだ。そんな賤しい下心もあった。
 しつこい吸引にあいつの乳首は赤く腫れてくる。あいつの顔や全身は上気し心はまだ桃源郷を彷徨っている。

 あいつの放心しきった表情にまた欲情して行ったこともある。だが、あいつはもう疲れ切っていて無感覚になっていた。でもあいつは、独りよがりの性欲に果てた俺に小さな声でやっと言った。
「・・・大介、よかった?御免・・・俺、もう駄目だ・・・」

 もう俺だけの欲望を満たすことはしない。
 あいつの顔を見ながら俺は幸せを味わう。この幸せに終わりは来るのだろうか・・・来て欲しくない。せめて俺が死ぬまでは。
 あいつのやすらかな寝息を聞きながら俺も微睡(まどろ)んで行く。

恋人 了

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