《MUMEI》

◆◇◆

「何だ、お前達らしくないな」

「だって‥」

 雪兎はふてくされたように頬を膨らませる。

「彩貴、夜桜の事があってから‥何か時々前みたいになるだろー?」

 三匹は、彩貴が時折見せる陰のある表情に不安を抱いていた。

「あの詛は、確かに危なかったけど‥でもおれ達はそんな事しないし‥」

「出来ないし‥」

 雪兎達のように幼く妖気の乏しい妖は、あのような詛を操る事は出来ない。

 況してやその力があったにしても、三匹はそのような事が出来る筈がなかった。

 その事は、彩貴もよく分かっている。

 この三匹や、狐叉や、その他の妖を敵視するつもりはない。

 だが。

◆◇◆

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