《MUMEI》 公園……全て此処から始まったのかもしれない。 此処は聖域だった。 家族も七生も二郎も踏み込めない俺の居場所。 「おとやー!」 二郎が駆け出して来た。 胸の辺りに柔らかい二郎の体温がある。 愛犬を撫でるように頭をわしゃわしゃしてやる。 「まだギプス取れてないから……」 二郎がしがみついて離れないのでバランスが取りにくい。 「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!心配したんだ!」 二郎は涙目になっていた。 七生に向けて言う並の罵倒だ。 「そうだな、当分はしなくてもいい。」 家出は疲れるということが今回で分かった。 二郎が必死にしがみつく姿はまた見てみたいような気もするが。 …………しかし、是清の奴、公園で俺を降ろした瞬間に車走らせやがって ………………絶対泣かす。 前へ |次へ |
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