《MUMEI》
謎の女性
(これだけ不器用だと、応援するのが普通だけど…)

高山の恋が実る確率は現在0パーセントだった。


(それでも、普通は応援するのか?)


叶わないとわかっている恋を応援していいのか、俺はわからなかった。


「今日は、教えてくれてありがとう。…じゃあ」


「あぁ」


結局俺は何も言えなかった。


そして、俺は打ち上げ会場であるカラオケボックスに移動したのだが…


「やっと主役が来た〜!」

「…」


酔ってるかと思う位、ハイテンションな津田さんは、まだ予想の範囲内だったが…


(…誰だ?)


ご機嫌な津田さんの隣にいる女性は見覚えが無かった。


明らかに、高校生ではない。


スラッとした長身に、長い黒髪の大人の女性。


「ね、ねぇ、志貴ちゃん。私、やっぱりここにいるの…変だよ」


「大丈夫!後から二人も来るし!」


「でも…」


明らかに、その女性は困っていた。


(普通は困るよな)


俺は、その女性に同情していた。


(それにしても、二人って誰だ?)


パーティールームには、既にクラス全員が揃っていた。


頭の固い担任と、年老いた副担任を、この場に呼ぶはずはないと思った。

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