《MUMEI》 合流「こんばんは…かな?」 「悪い!遅れた!」 (え?) 相変わらず呆然と立ち尽くしていた俺の後ろで、聞き慣れた二人の声がした。 「遅いよ!二人とも! 志穂(しほ)さん待たせるなんて」 「し、志貴ちゃん。二人とも仕事だったんだから…」 志穂さんと呼ばれた女性は、津田さんをなだめた。 その、左手の薬指には指輪が光っていた。 (ま、まさか、あの人…) 「「ごめんごめん」」 固まる俺の横をすり抜けて、仲村さんと、屋代さんが志穂さんの元に行った。 (やっぱり) 仲村さんの左手の薬指に、志穂さんと同じデザインの指輪が光っていた。 三人は、仲村さんを挟むようにソファーに座った。 「田中君は、初めて会う、よね。妻の…志穂だよ」 「はじめまして」 俺は、仲村さんより背が高い志穂さんに、改めて頭を下げた。 「…はじめまして」 志穂さんは、少し照れながら、俺に笑顔を向けた。 (何つーか、この人、…見た目は高山家って感じだけど…) 中身は、普通な感じがした。 (てゆーか、この図、おかしくないか?) 俺は改めて三人を見て… ハッとした。 (まさか祐先輩と一緒か?) 前へ |次へ |
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