《MUMEI》
未確認
「カラオケ、よく来るんですか?」


「この二人が好きなんだ」

俺の質問に、仲村さんは両隣の二人を指差した。


「ちなみに、好きなアーティストの好みも一緒」


「はぁ…」


(で、好きな男の趣味も一緒なわけか)


俺はチラッと、熱心に選曲している志穂さんを見つめた。


(この人が、高山が尊敬するおばかぁ…)


あのなつき具合からいって、志穂さんが津田さんにも好かれている事は明白だった。


その上、祐先輩と希先輩の母親。


「…何?」


「いえ」


俺の視線を感じた志穂さんは、少し首を傾げたが、それ以上訊いてはこなかった。


(この人、安藤先輩みたいに知ってるのかな?)


安藤先輩が、祐先輩が葛西先輩と付き合っていてもいいと言ったように


志穂さんも、仲村さんが屋代さんと付き合ってても…

(まさかな)


仲村さんと、志穂さんは、結婚して、子供もいる。


それなのに、屋代さんとの関係を認めるなんて、普通はおかしい。


(旦那様と奥様じゃあるまいし…)


旦那様は、奥様が何をしても許していた。


『そういう条件で選んだし…、だから、お前は気にしなくていいよ、可愛い祐也』

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