《MUMEI》

◆◇◆

 彩貴は知らぬ間に文机に伏せ転寝をしてしまっていたらしかった。

「‥‥‥‥‥‥?」

 ふと顔を上げると、雪兎達が自分を見つめていた。

「どうした‥まだ起きていたのか」

 いつもならとっくに夜桜と共に狐叉の尾にくるまり眠りに落ちている頃だった。

 にも関わらず、三匹は自分が起きるのを待っていたかのように佇んでいたのである。

「夜桜達と行くといい。俺と居てもつまらないだろう」

 だが三匹は、もう少しだけ、と言い、なかなか彼から離れようとしない。

◆◇◆

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