《MUMEI》

「あの女を何度殺してやろうと思ったか。
……レイは俺の越えられない壁だった。」

昭一郎は泣くように笑う。




「昭一郎はレイを憎んだのか?」

ふと、レイの言葉が過ぎる。

〈取引〉であると。


「レイは国雄に愛されていることを理解しながら、俺と交際することを持ち掛けて来た……。

そうでもしなければ国雄を捕まえられなかった。
レイは国雄の心を捕らえ続けたかった。」




「二人が俺を……?」

信じられない。


「レイはお前しか見ていなかった。」

「昭一郎が好きだったんだろう?」

昭一郎は小さく溜息をついた。

「……語弊があったな、レイは俺と付き合うことで国雄を手に入れて、国雄を手に入れることで俺を縛り付けたんだ。

それが、本心だ。
病室で死ぬ前日に打ち明けられた……」

昭一郎は口だけ動かすように無表情で話す。


「会ったのか……」

それも、レイから呼ばれて。

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