《MUMEI》 三十七夜 清らなる、誠の心◆◇◆ 「雪兎」 「ん?」 彩貴が自分を呼んだので、その妖は顔を上げた。 「何だー?」 「ずっと此処にいるのか」 え、と雪兎は聞き返した。 「何でだー?」 「いや、いても別に構わないが」 彩貴は些か慌てて訂正した。 雪兎は何を思ったか、ぴょこんと彩貴の肩に飛び乗ると、にっこりと笑った。 「彩貴はいい奴なんだなー」 「───────」 彩貴は聞き返す事も忘れ、雪兎の朱い眼を見つめていた。 「どうしたー?」 ぱたぱたと長い耳を動かし、雪兎はきょとんとしている。 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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