《MUMEI》

◆◇◆

 未だ彩貴が唖然としていると、琥鬼が口を開いた。

「なぁ、彩貴はあの時‥どうしておれ達をやっつけなかったんだー?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

 彩貴は廊下に出、月を見上げた。

「夜桜に言われた。妖に手を出すな、と」

「姫にー?」

「でも、おれ達は敵だったんだろー?」「ああ。‥だが出来なかった。お前達を消す事は」

 彩貴は再び戻って来ると、三匹の前に腰を下ろす。

「あいつが言わなかったら‥俺はお前達を消していた。何のためらいも無しに」

「‥‥‥‥‥‥」

 三匹は些か驚いた様子だったが、納得したらしかった。

◆◇◆

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