《MUMEI》
第四十話:意外な策略
「快、こいつを見てみろ」

 義臣は快に一冊の資料を差し出した。

「デビル・アイ・・・」

 分厚い資料にはデビル・アイの構造と性能が記されていた。
 見てるだけで気が狂いそうな構造ではあるが、それに向き合うことも大切な任務である。

「ああ、聞いたことはあるだろう?」
「そりゃあるけどよ、こんな手の込んだやつ壊すのは厄介過ぎるだろう」

 快の意見は最もだった。
 近づけば衝撃波が来る、視力は人の倍、そして何より人体の強化・・・・
 並のバスターが相手に出来る代物ではない。

「だが、氷堂はこいつを手に入れた」
「なっ・・・・!!」

 快は声が出なかった。
 よりによって氷堂はデビル・アイを手に入れているのだという。
 勝ち目があるはずがない。

「だが、デビル・アイも機械だ。必ず弱点は存在する。
 その図面から全ての機能と応用、そしてその隙を弾き出せ。
 それプラス氷堂の戦闘パターンもプラスして考えろ」
「・・・人の努力を数時間で記憶しろってか・・・・」
「昔、俺の書斎からデビル・アイの記録持ち出した奴がいたよな」

 義臣はニヤリと笑った。
 確かに、八年前のあの事件から、いつかデビル・アイと対峙する未来を予測はしていた。
 しかし、現実はそううまくいくものではない。
 完璧なものは世の中に存在するものだ。
 快の頭脳を持ってしても、破壊までのシナリオが組み立てられない。

「父さん、父さんならどうやって戦う?」

 初めてまともな質問をした気がする。

「そうだな、俺なら・・・・」
「その程度の衝撃波も避けられないとはまだまだか。義臣とは」
「違うに決まってるだろ!」

 その声は氷堂の足元からしたもの。
 そしてその足元から快は飛び出して来た!

「なっ!」

 コンクリートの床から飛び出してくるなど馬鹿げた戦いとしか思えない。
 しかし、それを平然としてやった奴がいる。

「義臣の入れ知恵か」
「ああ。慣れたくねぇなこの戦法」
 
 快は笑った。義臣の呆れた考えが的中したのだ。

「俺なら騙し討ちする」
「はぁ!?」

 ありえない。そう簡単に出来るはずがないだろう。
 しかし、義臣は続けた。

「一言で言えば難しいな。
 だが考えろ。あの倉庫の中で出来る有り得ない攻撃パターンを」

「そういうことだ。続けるぜ!」

 快は微笑を浮かべた。

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