《MUMEI》
三十八夜 うら寂しき鈴の音
◆◇◆

「彩貴」

「‥‥? 夜桜か」

「昨夜は眠れたようだな」

「見ていたのか‥」

 すまん、と夜桜は苦笑した。

「起こす訳にもいかなくてな」

「───────」

 彩貴は雪兎の頭をわしゃわしゃとしながら、穏やかな笑みを浮かべた。

「悪くは無いものだな」

「?」

「妖に好かれるというのも‥‥‥‥悪くは無いものだな」

 夜桜は刹那驚き、そして微笑んだ。

◆◇◆

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