《MUMEI》
ユウ
街外れまで歩き、少女は、足を止めた。


カイトの方へ、視線を向けると、ニッコリと笑いかけた。


流れる様な金髪と緑色の瞳。カイトと同じ。

少女は突然、呟く。


「ユウ…。逢いたかった。私のユウ…」


ドクン…ドクン…
カイトの中で、何かが騒いだ。


「??」
ラビは 素早く人の姿になった。


「君は、誰?」
カイトは 尋ねた。


「私は、ユウのママ…ノラ博士…忘れたの?ユウ…愛してる。」


「マ…マ?…僕は…ユウ?」


カイトは、頭を抱えて、その場にうずくまった。


少女は、静かにカイトに近付いた。


「そう、あなたの名前は、ユウ…」
まるで、催眠術を掛けるように、優しく囁いた。

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