《MUMEI》

◆◇◆

 夜桜は鈴音に話しかけつつゆっくりと足を運ぶ。

 踏み出す度に、しゃらん、しゃらん、と小さく鈴の鳴る音がする。

 楽しい。

 鈴音も嬉しそうにしている。

「姫ー」

 雪兎達三匹と黒手毬が、夜桜の元へ駆けて来た。

「あれ、姫‥」

「瞳の色変わってるぞー?」

「っ?」

 鈴音が夜桜の体を借りているからだろう。

 夜桜の瞳は鈴音の瞳の色に変わっていた。

 髪の色や物腰にも、どことなく鈴音らしさが現れているようだった。

◆◇◆

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