《MUMEI》

◆◇◆

 鈴音が夜桜にとり憑いてから二日が経った。

「いつまで憑依させておくつもりだ‥?」

 彩貴が案ずるのも無理はない。

 霊が人に憑いている間、少なからず乗り移られている体には負担がかかる。

 その霊が悩みや不安を抱えている場合、人にもその影響が及ぶ事があるのだ。

 それは夜桜も分かっていた。

 彩貴はどうしたものか、と考えを巡らせていた。

 だが、夜桜が除霊を拒む以上、体からその霊魂が自然に離れて行くのを待つしかないのである。

「心配なのか」

「あまり無理をするなと言いたいだけだ。俺が文句を言ったところで、お前が聞く耳を持たない事は分かっている。そいつを放っておけないのだろう」

「ああ。少しでも‥彼女の助けになれるのなら‥私は最善を尽くしたい。それだけだ」

◆◇◆

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫