《MUMEI》 放課後の図書室クラスマッチで一躍有名になった俺だが、幸いそう長くは注目されなかった。 それは、クラスマッチの後には、中間テストが迫っていたからだった。 そんなわけで… (今日も混んでるな) 図書当番の雑務をこなしながら、カウンター越しに俺は図書室を見つめていた。 テスト前の一週間は、部活も休みになるから、いつもは図書室と縁が無いような生徒も結構いた。 その中には、守と拓磨の姿もあった。 真司は、実は打ち上げで意気投合した…バスケ部の瀬川さんと付き合い始め、今日は瀬川さんの家で勉強すると言っていた。 (まぁ、普通に勉強だけじゃ無いのが普通らしいけど…) 「田中君、これ、片付けてくれる?」 考え事をしている俺の隣に、司書の先生が分厚い本を数冊置いた。 (重っ…) 俺は、ゆっくりと一番奥の本棚に向かった。 それは、地元に伝わる伝承や民話といった、図書室で一番人気の無いコーナーだった。 「あ…っ…ん」 (そりゃ、定番って言えば定番スポットだけどさ) 俺は早く重い本を棚に返したかった。 だから俺は、安藤先輩から唇を離した祐先輩を軽く睨んだ。 安藤先輩からは俺は見えなかった 前へ |次へ |
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