《MUMEI》

◆◇◆

「私が‥ですか‥?」

「ああ、出来たら‥弾いてやって欲しい」

 その言葉に、刹那考えた後。

「はい、分かりました」

 奏美は頷くと、奏で始めた。

 しゃらん、と鈴が鳴る。

 鈴音が反応しているらしい。

 夜桜もまた、その優美な音に心地よさを感じていた。

 そのまま眠りに落ちてしまいそうだ。

「───────?」

 自分の意識が奥に引っ張られるような感覚がし、夜桜は妙な動悸を覚えた。

 鈴音の魂が表に出ようとしているらしい。

「姫‥様‥?」

 夜桜の異変に気が付いた奏美の琵琶の音が、止まった。

◆◇◆

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