《MUMEI》
思い出の問題
俺は、それから極力祐先輩を避ける事にした。


(あいつと関わると、ロクな事無いからな)


祐先輩が、数日後、同じ場所で今度は葛西先輩といるのを見かけたが、俺はもう関わらなかった。


そして、中間テストが始まった。


期末は保健体育や家庭科等の教科も加わるが、中間は基本的な教科だけだから、二日間で終わった。


相変わらず、国語は赤点でなければいいと願うくらい、ボロボロだった。


同じ文系でも、ただ訳せばいい古文や英語は楽だった。


(70点位が平均かな?)


俺は、適度に空欄を作った。


(数学位は実力出しても、いいよな?)


俺は、明確に一つの答えがある数学が大好きだった。

(…ん?これ、習ったっけ?)

それは、知っている公式ではあったが、最近習った記憶が無かった。


(ボケてて、五組だけ教え忘れた、…とか、か?)


俺達の数学の先生は、年老いた副担任だから、可能性は十分にあった。


(この問題…確か)


『…すごいな、祐也。これ、高校レベルの問題だぞ』

俺は、旦那様との記憶を信じて、問題を解いた。


旦那様は間違っていなかった。


本当にそれは、高校レベルの問題だったから。

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