《MUMEI》 「俺…だって闘う気ないんだ」 智嬉は呆気を取られた。 「なんだって!?」 「ならどうしてカルテーニを倒したんだ?」 ラーテまで疑問を感じていた。 「許せなかったんだよ…親を殺してまで、昔の国王の権利を復活させようとしたんだ」 俺は棍棒をタイルの上に置く。 「俺はお前を浄化させる…それでいいだろう」 ラーテは考えていた。滝を殺すと。しかし、戦意を失っていては、なにも意味はない。 「そうか…お前がいいなら、私は構わない。」 「殺さないのか?」 「私にとって君は宿命の敵だった。しかし、もう君には戦意もない。私は…浄化の道を選ぶ」 そして、俺はラーテの近くにより全エネルギーを放出した。 「我が全身に宿るパワーよ…ここに集まれ」 「なんだ!?」 ラーテの前に手を飾した。 「“浄化”!!」 まばゆい光がラーテを浄化させた。 (これが正義の力…まさに国王) 「また生まれ変わったら、今度は正義となって我の前に現れよ」 そうして、俺達は戦いをすべて終えた。 国王はもう関係無い。普通の戦士として戦いたい。 「終わったのはいいが、滝はどうして浄化させたんだ?」 ある日の午後、俺達は反省会を開いた。事務所は何事もなかったようだ。 「うーん…戦意が無いのは俺も怒るな」 「戦士としてどうなの?」 純とみづきは俺に対して叱る。 「滝は…多分、人間として見たかったんだろうさ」 「敵としてじゃなくて?」 俺はカーテンを開ける。 「うん。純の言う通りさ。俺はラーテを人間として扱っていた。カルテーニもそうさ。だけど、人間としても許せなかった…」 リーダーのやるべき事は間違っていただろうか?いや、きっと間違ってはいない。俺は長年の戦争を終わらせた。 「あなたの死んだ父様はこれで許してくれるかしらね…」 瞳は俺を完全には許してはいないようだ。ロングスカートを揺らして歩く。 「上司がうるさくなりそうだな…」 「黄昏ている暇はないぞ。報告しなくちゃ」 純が口出しする。 「もう…終わったんだな」 そして、俺は最後の上司の報告へ向かう。 前へ |次へ |
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