《MUMEI》

赤高がパスを回す。


そのパス回しからは、まるで攻める気が感じられなかった。


(さっきから時間使って来てるけど…


いい加減うぜ〜。)


痺れを切らせた海南の右サイドが、カットへ。


「バカ!!戻れ!!」


11対8。


スコアを見るクロ。


(これで2点差か…)


1点を諦めたクロ。


しかし、


「バシッ!!」


「な!?」


村木がシュートを止めた。


一気に盛り上がる会場。


「拾え!!」


声を上げる翔太。


弾かれたボール。


それを拾える位置に赤高の選手はいなかった。


ボールを拾ったのは海南。


再びシュートへ。


「バシッ!!」


さらに止める村木。


ボールはコート外へ。


「でかした〜!!」


喜びを表す翔太。


ディフェンスに戻る赤高。


その光景に、再びクロは言葉を無くした。


さっきとは確実に違う理由で。


「…勝手に諦めないでくださいよ。」


「え?」


「試合中に敗けの言い訳探すなって…


クロさんが言ってたんすよ。」


「あ…」


「俺のヒーローは、


クロさんですよ?


失望させないでください。」


「翔太…」


(何してんだよ僕…)


クロが立つ。


「あと2分だ!!


声出していけ!!」


「…はい!!」


ようやく声の出始めた赤高。


そして3点差のまま、


前半が終わる。

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