《MUMEI》
第四十一話:ゲーム
 風が倉庫の中に吹いてくる。
 それはひんやりとしたもの。
 自分達がTEAM本社を出発して少なくとも六時間は経っている。
 朝日が昇り始めたのか、闇の中にも光が差し込み始めた。

「騙し討ちか。義臣の考えそうなことだ」
「それでかすり傷一つぐらいしか負わせられないんだ。
 相変わらずいい加減な親父で困る」

「だが、お前にこれ以上の時間はやらん」

 そして現れた七人の氷堂尊氏。
 個々の力は高いが、快が倒せないレベルでもない。

「一斉攻撃でも仕掛けてくるのか?」
「いや、これはゲームだ」

 音も立てず、分身は一斉に散っていった。

「デビル・アイを搭載した分身の俺とまともに戦えるのはおそらく夢乃のみだ。
 だが、さすがの夢乃でも全員を救えるかどうか・・・」 

 その瞬間快は突っ込んでいく! 時間がない!

「喋ってる暇はない。すぐに片付けてやる!」
「出来るものなら」

 そして二つの力は激突する!

「召喚! 雷神!」
「消してやる」

 赤い目が不気味な光を放つ。
 だが、快の得意とする召喚は尊氏のデビル・アイと対等だった。

「舐めんな! 雷神放て!」

 雷神の持つ銛が高電圧をおび尊氏に襲い掛かる。
 しかし、デビル・アイはその電圧を掻き消した!

「効くわけがない」
「これもか?」
「・・・!! 下か!」

 コンクリートの床から雷柱が二本出現する。また騙し討ちだ。

「煩わしい! 消えろ!」

 デビル・アイが再度不気味な光を放つ。
 それは雷神そのものをこの空間から消滅させた。

「次はお前をこの空間から消す」
「・・・・そのからくりは回避できる」
「はったりを!」

 デビル・アイが快をこの空間から消そうとしたが、
 攻撃そのものが快の前で弾けた!

「何っ!!」

 その隙が絶好のチャンスだった。
 快はデビル・アイにナイフを突き刺す!

「うがあっ!!」

 目を押さえ氷堂はよろめく! その瞬間が最悪の事実を物語っていた。

「ダミーか!」
「その通りだ」

 ニヤリと尊氏は不気味な笑みを浮かべ、倉庫は爆発した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫