《MUMEI》

◆◇◆

 泣き疲れたか、鈴音はまた眠ってしまったようだった。

 鈴音の悲しみを思うと、何もしてやれない自分がもどかしくなり、夜桜は懐を押えた。

 狐叉の話を思い出してみる。

 鈴音は平安京を彷徨っていた。

 もしかしたら、誰かを探しているのだろうか。

 だとしたら、誰を。

「‥‥‥‥‥‥‥」

 鈴音の想いからか、夜桜の心が締め付けられるように鈍く痛んだ。

◆◇◆

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