《MUMEI》 戦いの終わり上司のいる会社へ向かう。 ここからは近所なので、歩いてすぐに着く。 「すいません、上司はいますか?」 「おう、ご苦労だったな。今開けるわ」 上司の知り合いだろう、別の部下が居た。 「滝…傷だらけだぞ、任務ご苦労」 「…はい…」 俺は涙が出そうだった。 「どうした?これでお前の役目は終わったんだぞ?喜ばしい事ではないか」 上司が不思議そうな顔をする。 「俺は…無傷のまま、誰も殺さないまま、任務を教えていきたかった。出来る事なら」 頬に涙が伝う。 「いくら敵同士でもか?」 俺達二人は椅子に座る。上司は机の前に居る。 「俺は…人間として見ていました。敵同士でも、分かり合える日が来るではないかと考えたのです」 悔しくて悔しくて、耐えられなかった。 「優しいな…お前という奴は」 上司は笑顔で答えてくれた。 「馬鹿だっていうんですか?」 「本来ならな…しかし、君はリーダーだ。そういう方針でチームを育てたんだなら、私はなにも文句は言わない」 俺を個人として認めてくれた上司に感想しなくちゃいけない。 「ありがとう…」 「ハハハ…何を今更。私は上司として最後まで見届けただけさ。私はなにもしてないよ」 でも、嬉しい気持ちは変わらなかった。 俺は報告を教えて、再び事務所へ戻る。さすがにもう皆帰っているだろうか。 「只今ー」 「皆帰ってたぜ」 純がただ一人残っていた。 「なんだ…打ち上げでも考えてたのに」 「皆仕事だから、仕方ないさ。それより、俺達はどうなるんだ?」 リメンバーズは敵を倒すために発足されたチーム。 そう考えると… 「大丈夫、まだ残るよ。まだ敵は居るかもしれないし。」 「ハハハ、本当か?でも…俺は今の面子でも悪くないぜ。楽しいじゃないか」 無駄ではなかったようだ。 「うん。お前が思うなら、良かった」 「これからもよろしくな!国王」 「俺は国王じゃねぇー!!」 終わり 前へ |次へ |
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