《MUMEI》
好みのタイプ
「気になるの? 希が」


「あ、いえ…」


俺の『気になる』と、津田さんの『気になる』の意味は違うと思い、俺は慌てて否定した。


「男って、私よりも希みたいな子の方が本命だったりするのよね」


(そうなんだ…)


普通は、そういうものなのかと俺はぼんやり考えていた。


「祐也はどうなの?」


「えっ?」


質問されて俺は戸惑った。

「祐也は、どんな人が好きなの?」


(どんなって…)


俺が好きなのは…


「ちなみに、可愛い系と綺麗系だったらどっち?」


「綺麗、系、…かな?」


(…正しくはかっこいい系だけど)


「じゃあ、年上とか、自分より身長高いの、…好き?」


「そりゃ、まぁ…」


実際、そうだったし。


俺の言葉に、津田さんの顔が輝いた。


「じゃあ、私も望みあるわね!」


「え?」


(望み?)


「祐也の彼女になる望みよ」


「じょ、冗談…」


俺の好みは、確かに年上で長身でかっこいい系だが


津田さんのような柔らかい胸や美しいくびれは全く無かった。


「あら…本気よ」


「お、俺、委員会の仕事あるんで失礼します!」


俺は必死でその場から逃げ出した。

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