《MUMEI》 勝手に、門が開く。 「ええ?!」 入っちゃっていいのか? 『入って。』 七生の声だ。 緊張を漂わせた後に、拍子抜けさせられた。 家に行くまで歩かされた。欧風なガーデニングに、家も洋館を意識した外装であり、現代の機能的な部分を忘れないような設計をされている。 庶民からしてみれば、そんなに広くして何に使う? と言ったところか。 取り敢えず、扉の前まで来た。 ノックをするが、誰も応答しないので開けてみた。 「いらっしゃーい!」 いきなり、厚い胸板に歓迎された。 両腕で抱きしめられる。 「しゅーちゃん!二郎薄いから潰れる!」 七生の声で圧迫が治まる。 あれ、しゅーちゃんて…… 顔を上げると歓迎してくれたのはいつだかの北条さんだった。 前へ |次へ |
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