《MUMEI》

去年9月。


赤高。


「今日の体育は…」


(体育…、嫌だな…。)


「バスケだ。チームは決めてあるからそれに従ってやるよ〜に。」


「あ〜い。」


(…チームか。)


村木は生まれつき運動神経が良かった。


何をやらせても上手かった。


ただ、自分が活躍したって仕方ない。


そう思って積極的にシュートにいったりはせず、


ボールを取ったらすぐにパス。


そんな形でスポーツをやっていた。


もちろん、手加減しながらやるスポーツなどつまらなかった。


「俺たちのチームに村木いんだけど…」


「あ〜、キツいな。」


「マジこぇ〜よ…


あいつの目付きヤバいって…」


「俺も初めてクラスなった時焦った…


絶対ヤバいヤツだよ…」


「あ〜、下手に関わんないようにしよ…」


授業でのバスケ。


嫌々村木も参加。


「ユキヒロ!!シュート行けシュート!!」


「え〜!?俺バスケのシュートとか苦手なんだよな…」


「いいから!!」


同じクラスの美山幸弘。


彼のシュートが…


弧を描き…


「ガン!!」


外れた。


「あちゃ〜!!」


「リバウンド!!」


そのリバウンドを取ったのは、村木だった。

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