《MUMEI》

不思議に思いながらも…


ハンドボールを見ていた。


人数が少ない…


生徒の間では少し有名だった…


『ハンド部大量退部事件』


だが人との関わりがなかった村木はそのことをまるで知らなかった。


「どうよ?ハンドボール?」


休憩時間。


ユキヒロが村木に聞く。


「…別に。」


「別にって!!何か感想ないのかよ!?」


「…ハンドボールって」


「お、何?」


「5人で出来んの?」


当時の赤高ハンド部には、ユキヒロ、椎名、千秋、峰田、関谷の5人しかいなかった。


「いや…


5人じゃ無理だな…


実際の試合では7人必要。


ただ、今部員がいなくて…


だから先生がキーパーやってんのさ。」


「キーパー?」


「そ。」


「ハンドボールにもキーパーがいるの?」


「うん。


サッカーだけじゃないよ?


まぁ…


役割は同じだけどな。」


「…ふ〜ん。」


「お前キーパーやってみない?」


「は?嫌だよ。何で俺が…」


「センスがあると思うから…


ってのは理由にならない?」


「…」


「ユキヒロさん!!練習始めましょ〜!!」


「ちょっと待って!!


こいつにキーパーやらせるから!!」


「おい!!」


「さっ、やってみよ〜か。」


「…1回だけだぞ。」

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