《MUMEI》

「若君が‥」

「竹千代様がお戻りになられたのですね?」

「上皇様にご報告を」

「お待ち下さい」

「浅葱‥?」

「上皇様にはまだ知らせてはなりません」

「竹千代様が‥」

「そのように言伝を?」

「はい」

 浅葱は静かに答えた。

 女房や納言達は不思議そうにその式部を見たが、誰も異論を出す者はいなかった。

◇◆◇

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