《MUMEI》 ◇◆◇ 「‥未だ‥思い煩って居られるのですね‥」 「神夜の側にいたら‥本当に僕は堪え切れなくなってしまうから‥」 「‥‥‥‥‥‥‥」 浅葱は若君と姫君を交互に見た。 どうしたものか、と思う。 神夜と竹千代は血縁である。 神夜は竹千代の妹であり、竹千代は神夜の兄。 にも関わらず、二人は恋に落ちてしまった。 いけない、と分かっていた。 だが気持ちは、止める事が出来なかったのである。 決して許されぬ恋。 消す事の出来ぬ想い。 (どうしたら‥) 見上げた闇の中に、月が煌々と輝いている。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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