《MUMEI》

◆◇◆

 若妻は毎日のように鈴音を連れて来ては、夜桜に抱かせに来てくれていた。

 鈴音は日に日に表情が豊かになり、笑ったり泣いたり忙しそうにしている。

(鈴音は‥夢花の頃の記憶を覚えているのだろうか)

 夜桜に抱かれて眠っている鈴音は、本当に穏やかな寝顔をしている。

「鈴音‥有難う」

 その刹那、鈴音が微かに笑ったように見えた。

「姫様は、鈴音‥夢花さんとお知り合いだったんですよね」 

 夜桜は頷き、そっと鈴音の頬に触れた。 
「っ‥?」

 眠っている筈の鈴音が袖を引っ張ったので夜桜は驚いたが、直ぐにまた寝息が聞こえ始めた。

◆◇◆

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