《MUMEI》

彼と楽しく会話していると、中から人の良さそうな店長らしい人が出てきて「そろそろ閉店ですよ」と言ってきた。

「あっ、はーい……あの///」

彼が俺の方を振り返り、何かを待っているように俺を見つめてきた。

「私と一緒に…来るかい?」
「はい///」


彼のバイトが終わるのを、いい香りのする花を抱えながら外で待っていた。

「お待たせしました…」

彼は肩から斜めにバッグをかけて、まるでスイスかイタリアの少年のような素朴で可愛らしい格好で現れた。

「可愛いじゃないかあきら///」
「克哉さんは格好いいですね、その抱えてるお花とか」

そう言って彼はまるで子供のように笑うと、俺の抱えていた花に顔を近づけて香りを嗅いでいた。

「なんか…克哉さん花束抱えてるから、僕迎えに来てもらったみたいです///」
「そう…迎えに来たよあきら♪」
「えへへ///」


大通りに出てタクシーを探そうとしたら、彼がグイッと俺の腕を引いて歩きだした。

「歩きましょう、この辺夜になると綺麗なんですよ♪」
「…あぁ」

そう言って彼を探しに歩いてきた道を、彼と一緒に帰る。

俺はちょっと疲れたんだけどな…と、思っていたが彼の言った通り、この辺の道は昼間とは全く違う顔をしていて、その光景はドイツで言う所のクリスマスのように光り輝いていた。

= = = = = = = = = = = = = = = =

「アキラは一人暮らしをしているのか?」
「ええ…寂しい一人暮らしです…」

確かに人は一人だけど、正しくは僕と観葉植物達のいっぱい暮らしだった…。

「どこに住んでいるんだ?」
「この辺です…って、んなワケ無いですよ〜こんな所家賃が高くて住めないですって///」

ココは都内の一等地で、お店も多くてお洒落なデザイナーズマンションとかいうものもいっぱいあった。

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