《MUMEI》 ◆◇◆ 若妻‥夕凪が鈴音を連れて邸に来る時には、草愁も度々鈴音と対面していた。 鈴音は本当に夢花と瓜二つなのだ。 鈴音は草愁の事を覚えているらしく、しきりに彼に甘えてくる。 そんな時、草愁は本当に嬉しそうに彼女と戯れる。 「良かったな」 「はい。夢花は‥帰って来てくれたんですよね」 夜桜は頷いた。 「記憶を持っているようだ。生前の‥恐らく全ての記憶を、鈴音は覚えているらしい」 「なら、巫女姫様の事も‥」 「ああ、そうらしいな」 刹那、茂みから足音がし、そこから現れた月裔が、はた、と立ち止まった。 「あ‥すみませんお客様がいらしてましたか」 ◆◇◆ 前へ |次へ |
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