《MUMEI》
巻き添え
「ねぇ、祐也、お願い!」

「や、やめて下さいよ」


(こ、このパターンは…)


高山と同じ断れないパターンだ。


しかも、今回、場所は、…テストが終わったばかりの、教室。


当然、取り巻きの視線は痛いし


「何やってんだよ!祐也」

拓磨は怒鳴り込んできたし

…つられて真司と守までやってきた。


「祐也に劇に出てって言ったら断られちゃった…」


津田さんの言葉に拓磨が俺を睨んだ。


「出てやれよ!祐也」


「「そうだよ、祐也」」


(人事だと思って…)


その時、俺に名案が浮かんだ。


「お前等三人が出たらいいよ」


「え!?」×3


俺の言葉に三人は固まった。


(よし!)


三人はサッカー部で、夏休みも練習がある。


演劇の練習なんか、普通はできない。


…根性で、拓磨はできるかもしれないが、後の二人には無理だ。


「じゃなきゃ、やらない」

俺はきっぱりと言い切った。


「「…仕方ないな」」


(そうそう、仕方ない)


「やるか」×3


「はぁ!?」


俺は知らなかった。


守の片想いの相手と、真司の姉が演劇部にいたことを…

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