《MUMEI》

「一応、DNA検査とかしてさー。しゅーちゃんも忙しくてバタバタしちゃってて。」

七生が照れ臭そうに話し出した。

「母さんとも話付けたくてね、でも、七生は俺の本当の息子だよ。」

北条さんが七生に似た太陽みたいな笑顔を向けた。
北条さんて、社長だよな……じゃあ七生は社長令息?!

生のメイドさんが俺達を囲んでいる。
後々に判明したが、メイドは北条さんの趣味らしい。

「今日は七生のお誕生日会だから、存分に楽しんでってね。」

北条さん、楽しむったって、俺以外はメイドさんと北条さんしかいないじゃないか。

しかも、急いで来たから学ランだし……
七生め、もっとちゃんと言ってくれれば学ランのままで来なかったのに。




七生の誕生日には勿体ないくらいの大パーティーだ。

食べ切れない料理に綺麗なケーキ、別世界にでもいるようだ。

「それ、プレゼント?」

七生に目敏く見付けられてしまう。

「駄目っ……」

さっさと奪われ包みを開けられた。




中身は靴下と鯖缶だ。

「七生、靴下が穴開いても履いてるだろ。
それに、土日の昼ご飯はカップラーメンや肉ばっかり食べるから魚とかも食べてほしくて……これは骨も食べれるやつだから」

「親の仕送りみたいだね」

北条さんにずばり指摘された。

だって、急だったからスーパーしか行けなかったんだもん。

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